ウマーラを越えてゆけ

Red Deer / Tr. Kei Akasika 

2016年1月10日

 

お帰りなさい、ゼンディカーへようこそ! いや......今この次元に残る者たちすべてを歓迎しよう。

 エルドラージは隆盛を続け、スタンパウパーの生態系は大きく変わってしまった。世界そのものを喰らう怪物たちによって、この世界は一変したのだ――今、わずか1体のエルドラージ(破滅の昇華者)が、「ゼンディカー同盟」を混迷の極みに立たせている。

 つまり、この戦いで同盟側が勝つには仲間が必要だということだ。

 剣や盾のみではもはや足りない。勝利のためには、「狡知」の力が必要だ。

 そして私たちの場合は、少々「果敢」の力を借りることになるね。

 幸運にも、エルドラージとの戦いに臨む強力な仲間はたくさんいる。君たちはこれまでにも、いくつか「ゼンディカー同盟」側の仲間を見てきたことだろう。ここで私から、「果敢」を持つちょっと強いやつをご紹介しよう。

 《ウマーラの絡め捕り》をご覧あれ。

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 どうだい、すごいだろう。今後数ヶ月、こいつの姿をたくさん見かけることになると予想するよ。

 それじゃあ、もう少し詳しく見ていこうか。

 2マナで2/1というサイズは、スタンパウパーでは並だろう。だがその成長っぷりに注目してほしい。続くターンにクリーチャー以外の呪文を唱えれば、こいつは3/2になる――「果敢」が誘発するたび、際限なく大きくなり続けるのだ!

 それから、他の「果敢」の存在も忘れないでくれ。『マジック・オリジン』の《魔道士輪の暴漢》などが存在するおかげで、パワー2の「果敢」クリーチャーを引くことが極めて容易になり、以前よりも強力な「果敢」デッキが構築できる。

 そして、さらに同盟者でもある。どうでもいい。

 このカードは果敢が強力なのだ。

 《ウマーラの絡め捕り》は、「果敢」によって自身は倒れず次々とクリーチャーを倒してゆく、攻撃にも防御にも役立つ1枚だ。より安全に展開を進めたい人は、このカードを《魂の基点》などでサポートし、返しのターンで「反復」と合わせて反撃するというデッキも考えられるだろう。

 さて、そんな《ウマーラの絡め取り》をどのように活かせるだろうか? スタンパウパーでとれる方針をひとつご紹介しよう。

 

ビートダウンの絡め取り

 《ウマーラの絡め取り》を最も活かせるのは、恐らくアグレッシブな戦略だろう。何といっても、軽量火力を用いて相手のクリーチャーを焼きつつ、「果敢」により3点で攻撃できるというのは、素早くダメージを与える上でかなり有効な動きだ!

 例えば、こんな形のデッキを見てみてくれ。

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 このデッキは、「果敢」を持ったクリーチャーたちを駆使して素早く強打を繰り出すことができる。今までパワー1の《ジェスカイの賢者》を採用していたこのアーキタイプに、《ウマーラの絡め取り》という強力なパワー2が加入することになるのだ。

 また、相手クリーチャーを焼く火力呪文は《苦しめる声》や《予期》で補充ができ、強烈な力を相手に叩き込む用意できるだろう。お互いに手札を使い果たし盤面が止まったとき、墓地に溜まった呪文を「探査」して《宝船の巡航》? ああ、大歓迎だ!

 それから、《双雷弾》にも注目だ。すでに優秀なカードだと思われているかもしれないが、エルドラージたちが隆盛した今こそ、このカードの力をすべて引き出すときだ! インスタント・タイミングで「果敢」を誘発させるのはもちろん、エルドラージ・末裔を除去しつつ対戦相手にもダメージを与える、という動きは最高の奇襲になるだろう――12枚搭載した軽量火力呪文が、さらなる力をもたらしてくれるはずだ。

 この形は始まりに過ぎない。『ゲート・ウォッチの誓い』には、他にもこのデッキにぴったりなキャントリップ呪文やアグレッシブなクリーチャーがある。今後きっと、このような形のデッキをたくさん見ることになると私は信じているよ。